Before (改善前)

産業用の機器・装置は、ネジやボルトなどの締結部品での組み立てが要求されることが多くあります。これらの締結部品での組み立てにはタッピングによる有効ネジ部の成形が必要です。しかし、薄板・薄物の精密板金加工品でタップを立てる際に、タッピングの深さ寸法を大きくに取ってしまうと板金の板厚だけでは不足してしまいます。その不足分を補うために、薄板へバーリング加工を施すことによって有効ネジ部を確保しますが、バーリング加工を行うと、加工工数が増加してしまいます。

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After (改善後)

締結部品による精密板金加工品の組み立てにおいて、トルクが大きく必要ではない箇所であれば、タッピングの深さ寸法が3山程度確保できればバーリング加工が不要となる場合があります。締結部分の有効ネジ部の確保の方法として、ナット溶接(六角ナット、丸ナット、板ナットなど)やバーリング加工などがありますが、まずはそれらの加工を行わずに板材へのタッピングによる有効ネジ部の成形、必要トルクの検討を行うことで、過剰な加工を回避することが可能になります。

POINT(要約)

薄板・薄物の精密板金の中でも、特にt=2.0を超えるような板厚であればバーリングの成形に時間がかかってしまいます。ナットの溶接に比較すると、バーリング加工はコストも安く、熱による歪みも発生しないのですが、設計段階にて必要なトルクの見直しや板厚ごとの有効ネジ山の検討を行うことで最適な工法を選ぶことができます。